ゲームカフェ大賞の舞台裏


おかげさまで各地で話題になっている、オールゲーマーズ誌主催の「ゲームカフェ大賞」について、ちょっとした舞台裏のお話をしようと思う。

この賞にはモデルがある。
予想がついている人もいると思うが、「本屋大賞」がアイデアの原型。
さらに言うと、とある方に「本屋大賞」的なものを作ると面白いんじゃないかとアドバイスを頂いて作ったのがこの「ゲームカフェ大賞」なのである。
よって、その選考方法は「ゲームカフェの投票によって決する」というのは、大賞発想当初から決まっていたことなのである。

悩んだのが、投票参加資格者と投票基準。
投票者の結論から言うと、ここは本屋大賞と違う形にすることにした。
本屋大賞の資格者はこうだ。

 新刊を扱っている書店の書店員であること(アルバイト、パートも含む)
「本屋大賞とは」より

もしこれに倣うなら、ゲームカフェに勤務している店員すべてを参加資格者にすべきだったのかもしれないが、ここで問題なのが、どうやって投票してもらうかだ。
というのも、オールゲーマーズ誌自体が出発したばかりの創刊号(準備号があるとは言え)であり、すべてのカフェに知られているような知名度がないので、ただサイトなどに告知するだけでは投票者はかなり少なくなってしまうのは火を見るよりも明らかだからだ。
となければ、こちらからアプローチする必要があるわけだが、その際、「店員なら全員投票できますよ」としてしまうと、おそらく結果に偏りが出ると思われる。
なぜなら、こんなお願いが突然来て、それでも投票してくれるのであればそのカフェの全店員に近い人が投票してくれるだろうし、逆に興味がなければ店長が店員に告知することなくそのままメールはゴミ箱に入れられて終わってしまうことだろうから、これでは1店舗の考え方が強く出過ぎてしまうことになりかねない。
ゲームカフェと一言で言ってもその性格は多岐にわたるし、特にオールゲーマーズの場合は人狼プレイ店などのいわゆるボドゲカフェ以外のアナログゲーム関係店にも協力を求めているので、偏りはさらに顕著になるのではという危惧があった。
そういうことから考えた結果、参加資格者は「店舗」にすることにした。

では次に投票基準。
ここは結構悩んだ。
ゲームカフェ大賞なんだから、「カフェで最も遊ばれたゲーム」という基準が一番わかりやすいのかもしれないし、「店長が一番好きなゲーム」という基準ならユーザーがゲームを選ぶ際の一つの選択のヒントとしては扱いやすいのかもしれない。
でもそれじゃ、投票する面白さがないんじゃないかなと思った。
せっかくわざわざ時間と手間を使って投票してもらうんだから、もっと投票に悩んでもらい、楽しんで貰いたかった。
さらにもっと言えば、オールゲーマーズという新興誌がやる意味がないんじゃないかと思ったのだ。
オールゲーマーズらしいボーダーレスの、ファジーな基準の賞があってもいいんじゃないかと、そう思ったのだ。

そこで本屋大賞にもどって、本屋大賞の選考基準を見てみると、こうなっている。

 本屋大賞」は、新刊書の書店(オンライン書店も含みます)で働く書店員の投票で決定するものです。過去一年の間、書店員自身が自分で読んで「面白かった」、「お客様にも薦めたい」、「自分の店で売りたい」と思った本を選び投票します。
「本屋大賞とは」より

この通り、本屋大賞もけっこうファジーなのだ。
「本屋大賞」なので例えば「一番売れた本」とか「売りたい本」という基準があるのかと思えば、しかし実は、「面白かった」でもいいし、「薦めたい」という理由でもいいと、むしろこれらの複合的な理由によって大賞を決めるのが本屋大賞なのであって、1つのキッチリとした基準があったわけではなかったわけなのである。
これに気づいてオレは、本屋大賞よりももっとファジーにしてやろうと思った。

このゲームカフェ大賞、決して「カフェという特殊空間の中だけの特殊な賞」にしようとは全く思っていない。
多分それは「本屋大賞」も一緒で、あくまで選考の方法論として書店員という一般人よりは本に触れる機会の多いが作家や評論家ほどの専門家でない、という中間層的なくくりにすることで、「本の現場感覚を可視化」しようとしたのではないかと思うのだ。
同様に、ゲームカフェ大賞でこだわったのが「現場感覚」。
デザイナーや評論家などの専門職の強い動機から選ばれるのではなく、「普段アナログゲームを現場にしている人の肌感覚」を可視化したいと思ったのである。

ましてアナログゲームは本と違い、ほとんどの場合ひとりでそれを楽しむことはできない。
ゲームカフェ店員とは言えゲームカフェ店員だけではゲームは成り立たないのであり、一般の人もいなければゲームを楽しむことはできないのであり、ゲームカフェ店員とは「ゲームカフェ店員というプロ」であると同時に「ゲームを楽しむ1ユーザー」という両面がある存在だと言えるだろう。
オレはそれをこの賞に表現したかったのである。
それこそが「アナログゲームの現場感覚」に最も近いと思ったからだ。
そのため、商売の側面が強くなる「最もプレイされたゲーム」や「薦めたいゲーム」なのではなく、店員の主観がかなりのウエイトを占める「ホットのゲーム」というファジーすぎる選考基準を提示さてもらった。

その結果どうだったかというのは、オレは提示する側なので自己評価みたいなことはしないが、ただ本誌が発売する前に何人かに大賞から三位までの結果を伝えたところ、「それはガチな結果だね」と結構な人に言われた。
それが高評価なのか低評価なのかはともかくとして、まぁ投票を仕掛けて管理する身に対する言葉としては、ありがたく受け取るべき言葉だと思っている。
これもすべて、今回突然のお願いにも関わらず快く協力してくださった53店舗のカフェやショップの皆様、素晴らしいゲームを作ってくださっているデザイナーや関係者の皆様、そしてオールゲーマーズを読んでくださっている皆様のおかげだと感謝したい。

蛇足だが、ある種のガチさは、オールゲーマーズの発行元である冒険企画局のゲームが名前すら挙がらなかったところからも感じてもらえればと思う(笑)
(さらにAHCのゲームには1票すら入っていない(残当))

次回はオールゲーマーズ3号(2019年春号)での開催を予定している。
その際には今回よりも多くのカフェのご協力を賜りたいと思っている。
どうぞよろしくお願いします。

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