著作者に利益が還元されない形のゲームカフェはこのままでいいのだろうか?

あまおち顔アイコン_小.jpg 最近アナログゲームカフェがオープンしまくっている。
 これまであったようなゲームを販売する店に付属するプレイスペースという形ではなく、メインがプレイスペースでゲームの販売はしていない、場所の時間貸しだけのゲームカフェが、ここ1、2年でぽこぽこオープンしている。
 オレも先日、池袋にあるオープンしたてのゲームカフェに行き、我々の新作のテストプレイを含めて、いくつかのゲームで楽しんだところだ。
 
 もちろんこれはアナログ業界にとっては喜ばしいことだ。
 既存プレイヤーにとっては場所の問題がかなり解決されるし、また気軽に入れる店があることで新規プレイヤーの獲得にも繋がる。
 さらに、自分が持っていないゲームをお店に置いてあるゲームをプレイすることによって、新たなゲームの魅力に気づけるキッカケにすることができる。
 ゲームカフェ万々歳である。
 
 しかしちょっと立ち止まって考えたとき、ひとつ、このままで大丈夫なのかなという危惧が生まれた。
 
 確かに今はいい。
 アナログゲームはまだまだ普及率が低すぎる黎明期とすら言える状態であり、今はどんな手段を使ってでも普及させることが大切な時期なので、今はこれでもいい。
 けど、もしこの先、アナログゲームが大普及して、ネットカフェ並みにゲームカフェが流行したら、アナログゲーム自体の商品価値を落とす結果に繋がってしまうのではないのだろうか、と。
 
 つまり、ゲームカフェはゲームを利益のために利用しているわけだが、そのゲームの著作者にはその利益が還元されない形となっている。
 確かにゲーム自体はゲームカフェが買っているからその部分だけは利益になるが、しかしゲームを買えばそれを自分の商売に自由に使って良いかどうかっていうのは別の問題だし、どちらにしても、新たに生まれた利益に対して著作者には全く還元されていない形なのが現状だ。
 例えば他のジャンルに目を向けてみると、今のところ漫画喫茶は漫画の著作者に利益が還元される形になっていないので、いまのゲームカフェと同じ構図のようだが、一方、音楽や映画はレンタルやカラオケなどで著作者に利益が還元される仕組みになっている。
 また同じゲーム業界とも言えるファミコンなどの任天堂は、この手の商売を認めていないようで、ファミコンがプレイ出来るカフェに対して法務部が勧告を行いゲーム機の撤去を行わせているところを、実際に耳にしたことがある。
 ジャンルによって対応はまちまち、これは法律もからんでくる話だと思うので、そこまで考えるとけっこう複雑だが、ここで一番言いたいのは、「買わなくてもゲームカフェに行けば色んなゲームがプレイ出来る」と思われてしまうと、いよいよゲームが売れなくなってしまうのではないかと、ここを一番心配するわけなのである。
 
 我々のような同人はともかく、それを生業としているプロに対しては、キチンと儲けが出るようなシステムを構築しなければならないはずだ
 むしろ、今アナログゲームを普及させようとしている意味を明確に言葉にするのであれば、それはもっと市場規模を大きくし、プロの人数も増え、またプロひとりあたりの利益が大きくなることによって、「夢のある業界」にすべきだ、というのが本来の目的なのである。
 決して、誰も儲からないけど知名度だけは高い、みたいな状態を望んでいるわけではないし、むしろそのような状態にしてはならない。
 利益が出るからそれを専業とするプロが生まれ、これによって良質なゲームが量産されるのであって、この部分の根底の利益がなければ、最終的には消費者の利益にもならないのだ。
 だから「利益の出る業界」を目指して考えなければならない。
 
 その場合、果たして現在のゲームカフェの状態っていうのは、業界全体の利益に繋がる形なのかどうかっていうのは、いまのうちに考えておかなければならない問題なのではないのだろうか。
 もちろん色々と考え議論した結果、ゲームカフェの存在はトータルでプラスになるって結論づけられるなら、それはそれで構わない。
 しかし一番まずいのは、昔からの慣例ということでシステムが根付いてしまって、それが不利益に繋がるのにもう変えようのないものに固まってしまうことだ。
 だからいまのうちにそれはキチンと考えておくべきなのではないのだろうかと、オレは思うわけなのである。
 
 ドイツなどのアナログゲーム先進国などの例も見つつ、いまアナログゲームブームのうちに、色々な意見を聞きたいところだ。
 ぜひこれを読んで頂いたアナタにも、意見を聞かせて頂きたいところである。
 

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4 Comments

  1. 平沢紫電改

    今のアーケードゲーム業界をふと思い出した。
    ゲームセンターのゲームはみんなオンライン環境が必須で、店はそのための設備を負担しなければいけないし、さらにゲームのプレイ1回ごとに回線使用料をメーカーに支払わなければならない。
    例えば、ガンダムEXVSシリーズでは、1プレイごとに30円をバンナムに納めなければならず、これがゲーセンの収入をひっ迫している。
    加えて、ゲーム機器そのものの高価格化、大型化が影響した結果、10年前まであった「町のゲーセン」はバタバタと潰れていき、既存店も収益性の高いパチンコ店に鞍替えしていたりする。
    考えられるのは、レンタルビデオのように、お店で使うゲームだけを高い値段で売ることかもしれないが、これも現実的ではなさそうだ…。

  2. じゃあ古本屋で買った本が著作者に行くかって言ったらいかないし、こういうなんでもかんでも著作者がー、業界がーとか言って若い眼を摘んで正論ぶられてもねぇ、。ぶっちゃけレトロゲーの著作者もこんなこんなカフェの印税が毎月400円とか(おそらくきちんと徴収してもきっとその程度の規模にしかならない。将来的にも。)振り込まれても面倒くさいなーでしょ。ぶっちゃけ全国合わせて100件もいかないような商売に、”みーつけた”って言って足引っ張るだけのネタにするのはゲスいだけですよ。

  3. 通りすがり

    もちろんアナログゲームにも他の著作物同様、著作権があるわけですし、
    貸与権もあります。
    但し貸与権というのは「貸与に関しての財産権」であって、
    漫画喫茶のような形態は「貸与で無く閲覧」という文化庁見解が
    あります。漫画喫茶の大半が著作権者への支払いを行っていないのは
    そのためです。
    一方で、客よせとしてのCSゲームの利用が違法なのは、
    「現行のビデオゲームの大半は映画的著作物と看做すのが妥当」
    という判例があって、映画的著作物に関しては他の著作物と異なり
    「著作権者の許諾無き有償上映会禁止」という規定があるからです。
    ・アナログゲームは(法的に特別な規定がある)「映画的著作物」とは考えがたい
    ・ゲームカフェでのアナログゲーム利用形態は貸与で無く閲覧と看做すのが妥当。
    である以上、現状のゲームカフェの形態がどんなに将来的に
    アナログゲーム業界に悪影響をもたらすものであろうとも、
    そこから著作権者が対価を得るべきだ、とする法的根拠は怪しいです。
    この件が問題であるとするなら基本的には法改正を進めるしか
    ないのではないでしょうか。
    「ゲームを買えばそれを自分の商売に自由に使って良いか」
    というのは著作者が決められることでも、ましてユーザーが決める
    ことではありません。
    「著作権者がコントロールしてよい範囲」を法律が決めるものです。

  4. タウント

    記事を読ませて頂きました。
    妄想で恐縮かつ課題は残りますが
    以下の方法等考えられると思います。
    (主に他業種のパクリ)
    ○カフェ向けとして値段を上げて販売する。
     購入したカフェに以下、特典を設ける。
     (1)一般販売商品との差別化
     例:コンポーネントをより豪華にする。
       専用プレイマットやトークン入など
       物の品質を更に高める
     (2)カフェ向けアフターサービスの充実化
     例:インスト動画
       部品消耗時無償取替 
       オンライン対応
       →プレイヤーの成績を
        把握出来るようにする。
     (3)早期流通
     例:一般消費者向けより3ヶ月早く販売
     (4)一般消費者向け商品卸値の更なる値引き
    肝心の値段設定ですが現在の販売価格の
    50倍から200倍で良いんじゃ無いでしょうか。
    長々と書きましたが上記のようなカフェがあっても私はあまり行かないと思います。
    参考貸場所業界
    ・パチンコ
    ・カラオケ
    ・複合アミューズメント
    ・漫画喫茶
    ・ダーツバー

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